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ヤブサメのさえずりはまるで虫の声のよう。林床が若葉で覆われ薄暗くなりだした春先、他の夏鳥たちとともにやってきて、あの不思議な歌声を聞かせてくれる。声の不思議さは虫のような、だけではない。いくら耳をそばだてても声の主の場所を同定することができない。どの方向からも聞こえてくるように感じられるのだ。
この特性は捕食者への防御として優れたものであろう。ただ思うのは、同種のメスには当然ながら位置を同定させないといけないのだから、なにか秘密があるに違いない。